7月20日(木)
ドーイくんとマン川沿いを歩きながらお喋りした。
ドーイくんは、小学生の頃、よくマン川で泳いで遊んでいた。ダーンサーイ・ラック橋2から川にダイブしたり、浅瀬でカニや魚釣りをしたりもした。おばあちゃんから「川遊びは危ないから行っちゃだめ」と言われていたのに、川遊びに夢中だったドーイくんは、Tシャツがほんのりマン川色に染まって、いつもおばあちゃんにバレてしまった。ダーンサーイ・ラック橋2から川辺に降りてみた。川岸から少し離れた畑で蝶を見たが、川のすぐ近くに蝶は見つからなかった。きっと蝶の好きな花が咲いていないからなのだろう。ダーンサーイ・ラック橋2から見るマン川は、未来と過去のマン川を映すかのように、片側は護岸工事が進み、片側はまだ昔のままだ。けれど、工事が進めば、ここの景色も変わってしまうだろう。リュウさんが御殿場の黄瀬川の話をしてくれた。リュウさんのお父さんの時代は川でもウナギが捕れたこと、コンクリートで護岸工事が進んだ今はもうウナギはいなくなってしまったことを聞いて、マン川の未来を垣間見た気がした。市場にかかるゲートをバックにリュウさんがドーイくんの写真を撮った。写真に収まるドーイくんは、昔からある市場の風景にぴったりフィットしていた。
旧バーン・ポン・ノン小学校で、チャラートおじいさんの筍を使った料理を作って皆さんに振舞った。ビアさんのお母さんも、筍を使った料理を2品も作ってくれて、ちょっとしたパーティーが始まった。30年以上前にこの学校に通っていた女性も来てくれた。かつては洪水なんてなかったけれど、いまでは毎年10月になると恒例行事のように洪水が発生することを教えてくれた。徐々に暗くなる会場にライトが灯された。暗い校舎で、ご飯を食べる空間にだけ光が当たっている。ふと影に目をやった時、かつて、この学校に通っていた女の子たちのはしゃぐ姿が残像のように映った気がした。ご飯を囲む机の端っこにビアさんのお母さんがぽつんと座っている。ただただ静かに、でも優しい笑顔をたたえるビアさんのお母さんは、ここにいるみんなのお母さんのように見えた。